2025年度から新たに始まる「江戸東京伝統芸能祭」は、半世紀以上にわたり親しまれてきた「都民芸術フェスティバル」を継承し、能楽、日本舞踊、邦楽、寄席芸能、民俗芸能など、日本の伝統芸能に特化した祭典として生まれ変わりました。本格的な舞台公演から、気軽に参加できる体験型ワークショップまで、子どもから大人まで幅広い世代にお楽しみいただけます。

執筆 ・ 写真: 櫻庭由紀子
この記事のポイント!
★ 寄席は誰でも気軽に行って芸能を楽しめる一番身近な場所
★ メインは落語と講談の話芸だが、その他にも奇術や太神楽曲芸、漫才、紙切りなど「色物」も楽しい!

新宿末廣亭 : 東京の寄席としては唯一の木造建物
古典芸能を楽しむ最初の一歩として、ぜひ行ってみたいのが「寄席」。
落語、講談はもちろん、奇術や太神楽曲芸、漫才、紙切りなどなど芸能・演芸が盛りだくさん!
木戸銭を払って入場すれば、一日中楽しめます。
寄席とは、落語や講談、そのほかの寄席芸能を上演する大衆演芸場です。
寄席芸能とは、寄席や演芸場で披露される芸能の総称をいいます。
東京の寄席で演じられる寄席芸能のうち、メインとなっているのが「落語」です。メインとなるのは「落語」だけと思いきや……いえいえ、それだけじゃありません!
寄席で上演される同じ話芸には「講談」があります。どちらも古典芸能の日本の話芸です。その他にも、明治初期に始まった大衆芸能「浪曲」があります。
さらに、落語、講談、浪曲の演目は、昔からある「古典」だけではありません。大正、昭和時代の創作、または現在に作られたオリジナルの「新作」もあります。
1日でたくさんの芸人の、いろんな演目を楽しめるのは、寄席や演芸場ならではの魅力です。

寄席のメインは落語!
寄席でメインとなる落語、講談以外の演芸を「色物」といいます。
色物は、その名の通り寄席を華やかにする存在。落語の演目の間に入り、鮮やかな技で、観客の目や耳を楽しませてくれます。

日本の伝統的な奇術!その名も「和妻」
手品、マジックです。大きなセットを使ったものではなく、トランプなど手先のテクニックを使う奇術を披露します。
神事芸能から発展しました。傘回し、茶碗回し、撥芸など曲芸を中心に演じます。
話芸ですが、落語・講談中心の寄席では色物となります。2人の会話の掛け合いを楽しむ芸能です。
観客の目の前で、ハサミを使って1枚の紙からさまざまな形を切り取る芸です。
三味線を弾きながら端唄や小唄、都々逸などを歌う芸です。しゃべりと唄が、江戸の粋を感じさせてくれます。

観客のリクエストから即興で形を切り取る「紙切り」

おめでたい伝統芸能「太神楽曲芸」 提供:太神楽曲芸協会
古典芸能だから敷居が高いなんて、とんでもない!初めてでも、落語や講談がわからなくてもかまいません。
いつ入っても誰が入ってもOK。そんな自由でオープンな緩さが、大衆演芸場たる寄席の良さ!
「ちょっと寄席にでも行ってみようか」という感じで、気軽に足を運んでみてくださいね。
後編では、寄席の「初めてさんでも迷わない!寄席の入り方とルール」、そして春風亭昇々師匠による寄席の楽しみ方をお届けします!
櫻庭由紀子
北海道出身の作家、ライター。
落語をはじめとした伝統芸能、江戸文化、江戸怪異について解説する一般書、小説、コラムを執筆する。
近著に「江戸の怪談がいかにして歌舞伎と落語の名作となったか」「落語速記はいかに文学を変えたか」
「古典エンタメあらすじ事典」「江戸でバイトやってみた。」がある。